平野千明 《MILO》カットアウト原画（額装付き）

白と黒の紙の重なり、カッターナイフ一つで精巧緻密に像を切り出すアーティスト平野千明（CHIAKI HIRANO）による「現代型進化論」シリーズのペンギンをモチーフとした新作カットアウト（切り絵）作品《MILO》。
・額装付き
・作品証明書　※作家より別送いたします。

ペンギン モチーフのカットアウト原画

一見可愛らしい存在であるペンギンですが、過酷な環境でも集団で助け合い、厳しい自然に適応してきたペンギンを、進化のたくましさと生命の連帯を象徴する生き物だと捉えています。極地という自然の果てで進化を遂げたペンギンと、都市という人工の極地で進化を続ける人類とを重ね合わせた作品です。

平野千明のアートワークは自然（紙）を切り開くことではじめて可視できる存在をメインコンセプトとしております。

創作活動の根底には生命、人間の存在があります。現代型進化論と名付けたシリーズは、昆虫や動物のモチーフを無機質な機械部品の集合体で構成。複雑なディテールの作品に込めた本質は、紙という平面媒体を切り開き、切り出すという行為そのものにあります。白と黒のレイヤーによる造形を通して、人間が起こした進化の形を浮き彫りにしています。

平野千明のメッセージ

「地球の歴史は約46億年。生命は約35億年前、海の中で誕生しました。やがてバクテリアが光合成により酸素を作り出し、大気中に酸素が蓄えられたことで、生物の多様化と進化が進んでいきます。植物が海から陸へと上がったのが約4億年前、続いて昆虫や両生類、恐竜、哺乳類、そして約500万年前には私たち人類が登場しました。しかし、もし地球の歴史を24時間に換算したとしたら、人類の存在はわずか“1秒以下”に過ぎません。それでもこの一瞬の間に、人類は他のどの生物よりも地球環境に大きな影響を与えてきました。現代型進化論が語るように、人類は「自然を破壊する」という進化の選択肢を取り、文明という新たな生態系を築きつつあります。

今回のアートワークでは、ペンギンという一見可愛らしい存在をモチーフとしました。過酷な環境でも集団で助け合い、厳しい自然に適応してきた彼らは、進化のたくましさと生命の連帯を象徴する生き物でもあります。2025年の東京を見上げれば、機械文明が生んだ建造物群が林立し、まるで都市全体がひとつの巨大な生命体として呼吸しているかのようです。

極地という自然の果てで進化を遂げたペンギンと、都市という人工の極地で進化を続ける人類。その両者を重ねることで、私たちの未来のあり方を静かに問いかける作品となっています」